【度し難いアニメ】メイドインアビスをTVアニメから劇場版 深き魂の黎明までを見た感想。これはクリエイターのお話に見える。【アニメ紹介】

いま、様々な配信サービスで、劇場版「メイドインアビス 深き魂の黎明」が公開されています。

Abemaプライム(月額会員)
https://abema.tv/video/episode/25-173_s0_p1
GYAO!(無料視聴可能)
https://gyao.yahoo.co.jp/title/60b897fe-1ec9-42b7-8590-b63b0c7df512?source=external.twitter.share.wide
ニコニコ動画(プレミアム会員限定)
https://www.nicovideo.jp/watch/so38851918

わたくしDAsanはニコニコ動画のプレミアム会員なので、ニコニコ動画で見ました。

これまでTVアニメの「メイドインアビス」と、「劇場版総集編」、そして「深き魂の黎明」と見てきました。

しかし、原作のマンガは見ていません。

なので、アニメで描かれている部分だけを見ての感想となります。

作品作りや、描き方、クリエイターの考え的なことを書いていくのであまりネタバレは無いと思いますが、見た上で読んでいただいたほうがいいと思います。

また、作品を素直にエンターテイメントとして楽しみたい方や、強い思いでメイドインアビスを愛している方は読まないほうがいいかもしれません。

あくまで物作りをしている身としてだったり、いい大人として沢山の作品をこれまで見てきた中で思ったことを書いていくのでご了承ください。

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TVアニメ メイドインアビスを見始めて

TVアニメ メイドインアビスを見た段階で、感想をまとめようと思っていました。

リアルタイムでは見ていなかったのですが、TVアニメが最終回を終えてから、配信サイトで一気観しました。

初めのうちは「また女の子や、子供を酷い目にあわせて感動させる系」だなぁ。と、あまり良く思っていませんでした。

日本のアニメ作品の多くがわざわざ不憫んな子供というキャラクターを作り、わざわざ酷い目にあうストーリーの中で、僅かな希望を見せて感動させるというパターンがテンプレになっていると思います。

「普通の状態→壮大な大成功」の場合、この壮大な大成功という具体的な設定を作り、それを見る側が共感できるようにお話を作る必要があるので大変だと思います。

しかし、「絶望→日常」だったら、普通の生活をゴールにして、後はひどい状態を作るだけなのでお話や設定としては簡単だと思います。
ただ、そういったお話があふれているので、どう見せるのかというパッケージや、演出などの工夫は必要になりますが、見ている側に共感を得やすいお話を作れます。

というのも、具体的な成功体験がある人ってあまり多くないと思います、それに比べ、それぞれの人が、それぞれの悩みや苦労はしたことがあるので、「絶望→日常」のお話の方が共感を得やすいのだと思います。

最近はそういう作品を見飽きてしまったので、なにも事件が起こらない日常系のアニメばっかり見ていました。

ということで、メイドインアビスを見始めた、初めの内はそういう女の子や子供の「絶望→日常」というお話のパターンだと思って見ていました。

しかし、描かれているアニメーションはとても丁寧に描かれていて、描かれているシーンそれぞれが引き込まれるように思ったのと同時に、「あぁひどいことが起きそうだ」という予感もありました。

心が落ち着く、吸い込まれるような絵は見る側を惹きつけます。
これがあるから、この後に出てくるグロい表現がよりひどく見え、またこの絵的な落差が劇的な演出になり、引き込まれるほどの感動を作っているように想いました。

メイドインアビスのアビスとは?

オースの街の中央にあるどこまでも深い巨大な穴をアビスと呼んでますが、
アビス(Abyss)は英語で地獄、深淵といった意味があるようです。

リコはこのアビスの底に強い興味を持ち、酷い目にあう事も解っていながら向かっていきます。

このアビスはいわゆる「沼」といわれる物と同じだと思いました。

特定の物を好きになり、なりふりかまわず没入していく感覚を「沼にハマる」といいますが、それがリコにとってアビスであり、リコの行動はなにかに深く興味を持った人と同じ行動だと思いました。

その理由として、リコがアビスの底に行きたいという具体的な理由が曖昧です。
母親に会いに行くというわかりやすい行動するきっかけというのはありますが、初めから母親とは関係なくアビスの底に強い興味があったように思います。

やりたいことに没頭する人に、「なんでそれをやるのか?」と聞いても、「面白そうだから」「興味があるから」といった具体的な目標やゴールを示すことはなく、「やりたいからやる」という回答になるでしょう。

それと同じように思いました。

メイドインアビスのつくしあきひとさんは、「漫画家というアビス」に向かうという事を書いているんじゃないかと思いました。

メイドインアビスのアビスの呪い

アビスは興味の対象としての沼だと考えました。

だとするとアビスの呪いは簡単に説明が付きます。

わたくしDAsanは高校時代にギターを弾き始め、音楽活動をするために大学進学や、地元就職には目もくれずに上京しました。

この時点でアビスに入っていったわけです。

自分がやりたいことに10年前後没頭したことのある人なら解っていただけると思います。

13歳位からギターを弾き始め、ギタリストを目指す事を辞めたのは28歳くらい。
それから10年位になりますが、相変わらずギターに関わり続けています。

そうです。ギタリストを目指すことを辞めたからと行って、アビスから上がってこれたわけではありません。

その場所で暮らしていると言っていいと思います。

なんでアビスから上がることが出来ないのか?

それは現実にも上昇負荷があるからです。

10年以上同じことを続けてきました。
10年以上続けてきた実績を簡単には捨てられません。

しかし、その実績はアビスから出たところで何一つ役に立ちません。

すべての経験は価値があるというのはわかりますが、
アビスの外の生活に必要な仕事に就く為には全く役に立ちません。

それどころか、10年の間にまともな職に就かず、点々とアルバイトや派遣で食いつないでいた人を世の中は評価してくれません。

それはどんなクリエイターにも考えられることだと思います。

そのクリエイターとして開花するには、同じことをやっている誰よりも没頭し、その世界で目立たないといけません。

でもそれをやっていると一般的な世界と乖離していき、いつまでたっても評価されないままです。

そうやって、時間が経てば経つほどに、深く入れば入るほどに、事実上抜け出せなくなってくる。

それこそが上昇負荷でありアビスの呪いとして描かれているように思います。

深き魂の黎明 ボンドルド卿から見えるコンテンツビジネスの業

劇場版 メイドインアビス 深き魂の黎明を見ました。

R15となっただけあって、グロ表現がありましたが、思った程では無かったように思いましたが、対象が子供のキャラクターというのが、見る側の感情により一層働きかけたんだと思います。

よく、悪役にもさまざまな背景があって、なぜか憎めない悪役というキャラクターは多くいると思います。

しかし、この深き魂の黎明の悪役であるボンドルド卿に対して、共感や同意、悲哀といった感情を持った人は限りなく少ないと思います。

しかし、わたくしDAsanさんはボンドルド卿の行動はなんとなく理解出来てしまいました。

ボンドルド卿も様々な探窟家と同様にアビスに魅せられた一人、

アビスの底に向かうために命を惜しまないという具体的でわかりやすいキャラクターだと思いました。

ボンドルド卿は自身の普通でない体の状態を素晴らしいと考えており、この素晴らしい状態を沢山の人に味わってもらいたい、共感して欲しいんだと思いました。

その状態を沢山の人に知ってもらうために彼なりの善意で行動していました。

普通の感覚が残っている人は、「こっちは沼だから来ちゃだめだよ」と言える人が多いですが、中にはそうじゃない人もいます。「こっちの方が楽しいよ」と沼に良かれと思って招待する人もいます。

それと同じだと思いました。

また、ボンドルド卿はたくさんのかわいそうな子供を装備して、それを使い捨ててきました。

これは、初めの方に書いた、かわいそうな子供を描いて感動を得て、評価を得る。
コンテンツクリエイターそのものを描いているように思いました。

自分がクリエイターとしての評価を得るために、たくさんの人に愛されるかわいいキャラクターを描き、それをもって共感や感動を得るために酷い目にあわせる作品というパッケージに収め、消費された時の為にまた作る。

それを武装し、評価を得る為に動く。

日本のコンテンツビジネスそのものをボンドルド卿というキャラクターを使って描いているように感じました。

「素晴らしいでしょう」と。

カートリッジになって出てきたときに「ガチャ」じゃん!って思わず突っ込みました。
ソシャゲのガチャでお目当てのレアでないキャラは注目もされずに、使われること無くデータの片隅に残るだけですからね。

そんなドラマを見せるためにプルシュカは生まれたんだな。と思っちゃいました。

メイドインアビスは「憧れは止められねぇんだ」に尽きる

TVアニメ メイドインアビス12話 13分40秒の台詞

「そんなんじゃ、憧れは止められねぇんだ」

この台詞がすべてを物語っています。

なにかに憧れてそれに向かってしまったら、もうそこはアビスの中。
死ぬかもしれない、戻ってこれないかもしれない、
それを解っていても止められない。

腕が動かなくなったくらいでは、肉体を失ったくらいでは、止められない。

それがなにかに本気で憧れて追求するということだと思います。

ただし現実に実行すると、本当に戻り難い、戻れない。
理性を保てる人もいれば、そうでない人もいる。
そういうことですね。

わたくしDAsanはギタリストとしては深界二層あたりで早々に諦めて、ここに来るギタリストの為に、これから先、役に立つかもしれないアイテムを作ってほそぼそと暮らしている感じです。

興味を持って何かを始めるならそのリスクくらいは知った上で始めましょう。
それを伝えるいい作品だと思います。が、表面上は伝わりづらいと思い書いてみました。

ゆるゆると楽しむのならアビスの淵で留めておいたほうがいいかもしれませんね。

それではまた次の記事でお会いしましょう^^

 

過去記事:時間がない?そんな人もやりたいことをやるための時間は作れる考え方

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